奈良県奈良市の春日大社の摂社若宮神社の祭祀(さいし)として毎年12月15〜12月18日にかけて行われる「春日若宮おん祭」について、日程やアクセス、神事の詳細を紹介していきます。
真夜中に行われる厳粛な神事もあり、神秘的かつ圧巻な内容です。
日程•場所•アクセス
まずは、お祭り期間と全体的な神事のスケジュールを紹介致します。
祭りは毎年変わらない日程で行われます。12月15日〜12月18日にかけて開催されますが、実際は関連行事が7月1日から始まっています。
日程と場所
祭り名 | 春日若宮おん祭 |
開催期間 | 2023年12月15日(金)〜12月18日(月) |
開催場所 | 春日大社摂社「若宮神社」•奈良駅•三条通り周辺 |
住所 | 奈良県奈良市春日野町160 |
MAP | |
問い合わせ先 | 0742-22-7788 |
アクセス |
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7/1から12月初頭の関連行事
日付 | 時間 | 神事 | 場所 |
7/1(土) | 14:00〜 | 流鏑馬定(やぶさめさだめ) | 若宮神社 |
10/1(日) | 11:00〜 | 縄棟祭(なわむねさい) | 若宮神社 |
12月初頭 | 11:30〜 | 馬長児僧位僧官授与式(ばちょうのちごのおくらいうけ) | 若宮神社 |
12月初頭 | 13:00〜 | 装束賜りと精進入り(しょうぞくたばりとしょうじんいり) | 若宮神社 |
- 流鏑馬定(やぶさめさだめ)「御祭礼事始」として始まったといわれていて「これをもって春日若宮おん祭を始める」という儀式です。流鏑馬を行う稚児(ちご)もこの時に決められます。
- 縄棟祭(なわむねさい)神様が御渡りになって一日いらっしゃる仮宮の「行宮」(あんぐう)の起工式にあたる儀式です。
- 馬長児僧位僧官授与式(ばちょうのちごおくらいうけ)流鏑馬定で決められた稚児は祭礼の当日に「法院権大僧都」位を授けられて、興福寺により統括長官から僧衣と位を賜ります。
- 装束賜りと精進入り(しょうぞくたばりとしょうじんいり)春日若宮おん祭に参加する人達集められて、装束を身にまとい若宮神社でお祓いを受けます。
※この時より、稚児を始め祭事に参加する者は精進潔斎に入り、家の前には榊が飾られ、「春日若宮御祭札致斎之事」と書かれた札を立てます。家の周囲に注連縄をし、外界と関わらないようにし、そして当日まで肉を食べられません。
12/15(金)〜12/18(月)による本祭
日付 | 時間 | 神事 | 場所 |
12/15(金) | 13:00〜 | 大宿所詣(おおしゅくしょもうで) | JR奈良駅〜春日大社大宿所 |
17:00〜 | 大宿所祭(おおしゅくしょさい) | 春日大社大宿所 | |
14:30〜(大宿所詣の行列)16:30〜(旧儀による大和士)18:00〜(一般参拝者) | 御湯立(みゆたて) | 春日大社大宿所 | |
12/16(土) | 14:30〜 | 大和士宵宮詣(やまとざむらいよいみやもうで) | 若宮神社 |
15:00〜 | 田楽座宵宮祭(でんがくざよいみやもうで) | 若宮神社 | |
16:00〜 | 宵宮祭(よいみやさい) | 若宮拝舎 | |
12/17(日) | 0:00〜 | 遷幸の儀(せんこうのぎ) | 本殿〜行宮 |
12:00〜14:00 | お渡り式(おわたりしき) | 奈良県庁広場出発→行宮 | |
14:30〜22:30頃 | お旅所祭(おたびしょさい) | 行宮 | |
12/18(月) | 13:00〜 | 奉納相撲(ほうのうずもう) | 行宮南側 |
14:00〜 | 後宴能 | 行宮 |
※大和士とは→流鏑馬を奉納した大和武士の伝統を引き継いできた功労者
- 大宿所詣(おおしゅくしょもうで)大和士(やまとざむらい)や渡り神子(わたりみこ)がJR奈良駅から大宿所までを練り歩きます。
- 大宿所祭(おおしゅくしょさい)御湯立(みゆたて)といい巫女が煮え立ったお湯を使い、祭礼への参加者や参列者を清める行事が行われます。17時〜のっぺ汁や「冷やし飴」の温かいものである「あめ湯」が参拝者に振る舞われて、その後祝詞の奏上と神楽舞が行われます。
- 大和士宵宮詣(やまとざむらいよいみやもうで)大和士と流鏑馬児が若宮社前へ御幣を奉り拝礼を行います。
- 田楽座宵宮詣(でんがくざよいみやもうで)神事芸能を奉納する田楽座が春日大社の本社と若宮神社で先立って田楽奉納を行います。
- 宵宮祭(よいみやさい)神前に神饌(しんせん)といわれる神様が召し上がる食事を供えて、お祭りが無事に行われるように祈ります。
17日の神事の詳細
日付が変わり、17日の0時より1番の見どころである神事が執り行われます。
遷幸の儀(せんこうのぎ)17日0時〜
若宮神を本殿からお旅所の行宮(あんぐう)へと深夜にお遷しする行事です。暗闇の中で行われ神秘的な行事とされています。参道は明かりを消して2本の松明の火を地面に引きずり道を清めながら進みます。神様を明かりで照らすことは厳禁ですので懐中電灯、携帯の明かりも禁止、もちろん写真撮影もできません。榊の枝で若宮様を十重二十重お囲みし、約100名の神職に取り囲まれて進みます。
全員が警蹕(みさき)の声「ヲーヲー」と言いながら雅楽を演奏する人達が慶雲楽(きょううんらく)を奏でてお供します。
神様が目の前を通られるのを、肌で感じる事ができますよ!神秘的な空間の中に居合わせて実際に見ることで貴重な経験になりますね!
お旅所まで、1kmほど距離を御渡りになります。
暁祭(あかつきさい)17日午前1時〜2時
場所 : 春日野 お旅所
お旅所へお遷りの若宮様に朝の御饌(ぎょせん)←高貴な人の食べ物をお供えして神楽を奉納します。
本殿祭(ほんでんさい)17日午前9時〜
場所:春日大社本社若宮
「御留守事(おるすごと)」と申し上げて春日大宮若宮へ「御留守事の神供」を奉る行事です。
お渡り式(おわたりしき)17日12時〜14時
奈良県庁広場を出発し、御旅所にいらっしゃる若宮様のもとへ、芸能集団や祭礼に加わる人々の行列が練り歩きます。
第一番 | 日使(ひのつかい) |
第二番 | 巫女(みこ) |
第三番 | 細男•相撲(せいのお•すもう) |
第四番 | 猿楽(さるがく) |
第五番 | 田楽(でんがく) |
第六番 | 馬長児(ばちょうのちご) |
第七番 | 競馬(けいば) |
第八番 | 流鏑馬(やぶさめ) |
第九番 | 将馬(いさせうま) |
第十番 | 野太刀(のだち) |
第十一番 | 大和士(やまとざむらい) |
第十二番 | 大名行列(だいみょうぎょうれつ) |
第一番 日使←毎年、関西財界のトップの人が勤めています。お渡り式で馬に乗って先導する関白の格式を表していて、行列の中心的な存在です。関白藤原忠通(ふじわらのただみち)がこの祭りに向かう途中、急病を患いお供の楽人にその日の使いをさせたことに始まるそうです。
第二番 巫女 「辰市神子」「郷神子」「八嶋神子」「奈良神子」が参勤します。
第三番 細男(せいのお)平安時代頃から、神社の祭礼や御霊会(ごりょうえ)などで特殊な舞を舞った人。
第四番 猿楽 室町時代に成立した日本の伝統芸能で物まねを中心とする芸で能の原型です。
第五番 田楽 平安時代中期に成立した日本の伝統芸能で舞いを中心としていて、田植え踊りの伝統芸能の原型です。
第六番 馬長児(ばちょうのちご)山鳥の尾を頂に立てたひで笠をかぶり、背中に牡丹の造り花を負った騎馬の少年です。春日大社の実権を握っていた時期があった興福寺の学問僧•学侶から選ばれた馬長に奉仕する馬長児に「法院権大僧都」の格式が与えられた子供のことをいいます。
第七番 競馬 馬出橋からお旅所の前の勝敗榊まで競います。競馬の勝敗により、左舞の蘭陵王と右舞の納曽利の順番が決められます。
第八番 流鏑馬(やぶさめ) 馬に乗って走りながら鏑矢(かぶらや)で的を射ります。
第九番 将馬(いさせうま)大名家中より神前に献じた馬を引く名残り。
第十番 野太刀(のだち)公家の武器である太刀の総称であるもので、5.5メートルほどある大型の野太刀を先頭に、中太刀、小太刀、薙刀(なぎなた)、数槍(かずやり)と続きます。
第十一番 大和士(やまとざむらい)流鏑馬を奉納した大和武士の伝統を引き継いできた功労者。
第十二番 大名行列(だいみょうぎょうれつ)
お旅所祭(おたびしょさい)17日14:30〜22:30頃
古くから日本に伝わる芸能が奉納されます。
内容は、社伝神楽、田楽、猿楽、舞楽。
翌日の0時までに若宮神社にもどらなければならない若宮様に「染御供(そめごく)」といわれる青黄赤白に染められたお米お供えし、宮司や日使が天下奉平•五穀豊穣を祈りその後に様々な芸能を楽しんでもらいます。
中々見る機会のない、伝統的で神秘的な歴史を感じる素晴らしい芸能をご覧いただけます!
遷幸の儀(せんこうのぎ)17日23:00〜
翌日0時までに若宮神社に戻らなければいけない若宮様を御旅所の行宮より本殿へ深夜にお遷しします。
行宮へお遷しする時と同様に警蹕(みさき)の声を発し、楽人達の還城楽(けんじょうらく)を奏でてお供します。
お旅所にお遷しになる時の慶雲楽(きょううんらく)よりもテンポが早く軽やかなものらしいです。
この日は、最後に御巫(みかんこ)による神楽が奉納されます。
18日の神事
奉納相撲(ほうのうずもう)13:00〜
お旅所の南側の特設土俵で行われる相撲です。神様を悦ばせる為に行われる神前での相撲で穏やかな内容らしいです。
費用:無料 時間:60分程
後宴能(ごえんのう)14:00〜
お旅所の芝舞台で、おん祭に奉仕した人達をねぎらうことを目的たしおこなわれる能の演技。
能の魅力が堪能できます!
歴史
長承(ちょうしょう)1132年〜1135年の時代に、大雨にみまわれ飢餓が相次いで疫病が流行りました。その時に関白藤原忠通公(ふじわらのただみちこう)は多くの人々の為に神様の力で災害を抑えようとしました。1136年に春日野に御神霊をお迎えして祭礼を催したのが始まりと言われています。
その後、続いていた大雨が落ち着き、晴天が続いたそうです。
このことから、五穀豊穣や人々が暮らしを楽しむために最大に行われるようになったとのことです。
混雑情報
17日の神事を見るために、集まる人が推定20万人とのこと。どこに行っても人、人、人。
深夜の神事は、暗闇の中で執り行われることもあり身動きもできませんよね!
明かりもつけられませんから…。
ここで、ゆっくり神事をご覧になりたい方におすすめなのが桟敷席の利用です。
席からゆっくり観覧できます。
桟敷席 情報
《予約受付》2023年10月17日(火)午後13時〜12月14日(木)23:59
2023年12月17日(日)
①登大路園地(のぼりおおじえんち)桟敷席
②松の下式桟敷席(南席•北席)
③お旅所前桟敷席
問い合わせ先•予約
0742-30-0230(奈良市観光協会)平日9:00〜17:00
①登大路園地桟敷席
場所 : 登大路園地(奈良県庁前) 約220席 2.000円 予約受付•開場時間10:00 当日受付•開場時間13:30〜 行列通過時間11:50〜13:00 概要 お渡り式行列出発の観覧(カイロ付き)
②松の下式桟敷席(南席•北席)
場所 : 春日大社一之鳥居横 南席50席 北席120席 4,500円 予約受付•開場時間12:00〜 当日受付•開場時間12:30〜 行列通過時間11:50〜13:00 概要 様々な伝統芸能が奉納される「松の下式」の観覧(おん祭解説書、カイロ付き)
③お旅所前桟敷席
場所 : 春日大社お旅所前 約160席 10,000円 予約受付•開場時間10:30〜 当日受付•開場時間12:30〜 行列通過時間13:00〜(お旅所祭は14:30〜) 概要 お旅所祭を観覧(カイロ、オリジナルブランケット付き、音声ガイド貸出)
※大人、子供一律料金
※当日受付時支払い
※全席当日先着順(登大路園地桟敷席のみ全席自由席)
まとめ
お祭りの内容がとても濃く、歴史を重んじたお祭りであることが伝わると思います。
若宮様をおもてなしする為の芸能も、すぐにできることではないですし、代々伝統として引き継がれ、奉仕される方々の準備も期間中厳粛な神事を行い本祭を迎えられることもわかります。
素晴らしいお祭りです。
様々な伝統芸能もこれほどじっくりと観覧できることはないでしょう。
寒いので、防寒対策は必要です。
神秘的でかつ圧巻されるお祭りなので寒さなんて忘れてしまいそうですが。
初めてお祭りに行かれる方の参考になればと思います!!
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